嶺香（れいこう）　

12月、山の背をわたる香り。

「嶺」は山偏に「領」を合わせ、山々の背を示す字。風が集まり、雲が生まれ、香りが遠くへ渡っていく場所です。

ヒマラヤの裾野、大吉嶺（ダージリン）。東ヒマラヤの山腹、霧と陽光が交代する斜面で育った茶葉は、澄んだ苦みとほのかな甘み、そしてマスカテル様の余韻をひそませています。

嶺香は、その立ちのぼる茶の薫りに、生姜の清らかな辛みを、琥珀の泡に閉じ込めました。

最初に生姜のキレ、あとから紅茶の甘やかな余韻。ひと口ごとに内側から温度を上げ、香りは静かに高みへ抜けていきます。